「相続税は倍払う」から「資産を倍残す」 – プレミアムファイナンス
「資産保全」という考え方
富裕層の歴史がある欧米の国では、相続税に対する考え方が日本とは異なります。
たとえば、アメリカやスイスには、そもそも「相続税を節税する」という考え方がありません。
では、これらの国々で考えられている相続税対策とはどのようなものなのでしょうか。
日本では、「相続税を節税する」という考え方が一般的ですが、アメリカやスイスなどでは「資産を守る」ことを最も重要視しています。
つまり、相続税をどれだけ節税したとしても、資産が減ってしまっては何の意味もないという考え方です。
このように、たとえ相続税を支払ったとしても、資産を減らさないようにするという考え方が「資産保全」です。
そのキーワードが「プレミアムファイナンス」です。
これは海外生命保険を使った仕組みで、相続税対策として非常に有効な手法のひとつです。
海外生命保険の場合、保険契約に必要な払込保険料全額を、指定銀行が当該保険会社に送金することで契約が締結されます。
契約者(被保険者)はもちろん担保は必要ですが、指定銀行から払込保険料全額融資を受けられます。
もし被保険者が死亡した場合、実質受取死亡保障金額は、死亡保障金額から融資残高と未払金利を差し引いた金額になります。
資産が増えるように設計する
「資産を守る」という考え方に基づいた相続税対策を行うと、遺産相続があることでむしろ資産が増えることもあります。
たとえば5億円が倍の10億円になることもありえます。
富裕層対応に歴史がある国では、「いかに資産を維持し守るか」というノウハウが蓄積されています。
残念ながら日本にはそのノウハウはあまりなく、日本の常識に基づいた相続税対策では、必ず資産が減ってしまうという限界もあります。
仮に下記のような保険契約を仮定した場合で考えてみましょう。
死亡保障金額:USD 770万
払込保険料:USD 240万
契約時保険証書時価:USD 180万
契約時必要担保金額:USD 100万
プレミアムファイナンスのメリットのひとつは担保提供による保険契約であることです。
国内の生命保険は契約者の可処分所得からの現金払込みとなるが、海外生命保険の場合あくまでも必要担保提供による保険契約になります。
もうひとつの利点は、必要担保拘束期間です。
解約返戻金の逓増(保険証書担保価値の増加)により必要担保が不要になってきます。
ただし、必要担保を返還された場合は支払金利が期日毎に発生するので注意が必要です。
日本ではまだまだ馴染みの薄い手法ですが、相続税対策としては非常に有効で画期的な手法のひとつと言えるでしょう。