ルックイースト精神が残るマレーシア攻略のカギは現代版の「開国」
マレーシアの当社顧客にいくつかヒアリング調査を実施した。
その中から「日本に期待すること」にフォーカスして紹介したい(表1参照)。
【表1】マレーシア人富裕層が日本に期待すること(一部抜粋/複数回答)
回答 | 人数 | 割合 |
もっと和食を楽しみたい | 3 | ・シンガポールとタイばかりに食投資が向いている。 ・No1の和食シェフが誰だかわからない。 |
ビジネスで協業を求めたい | 3 | ・Look East(日本を見習おう)で育ったので。 ・意思決定をはっきりしてほしい。 |
日本の学校への留学情報がほしい | 2 | ・特にハイスクール前の統合情報がほしい。 ・学校付属の日本語学校をぜひ作ってほしい。 |
ハイレベルなツアーオペレーティング | 2 | ・誰に聞いても「築地、京都、銀座」と言われる。 |
ビジネスインターンシップ情報 | 2 | ・社員に長期間にわたり日本の技術を習得させたい。 ・大学生の息子の夏休みのインターンを日本で考えたい。 |
ハイテクビジネスイベント情報 | 1 | ・もっと情報を! |
キーワードは「受け入れ態勢の構築」
教育やビジネスにおいて、留学やビジネスインターンなどで自分の子供を日本で学ばせたいと考えている人が多いことが伺える。しかしながら、これらの受け入れ態勢はまだまだ整っていないというのが現実だろう。日本語学校併設の小学校や中学校を望む声に対してはハードルが高いと言えるが、今後の日本の状況を考えるとグローバル水準の学校を増やしていくべきだ。
ビジネスにおいても、自社の情報を見せたくないという気持ちもわからなくはないが、グローバルな視点を自社に取り入れられると考えればプラスの要素も多いはずだ。いきなりインターンの受け入れは難しいのであれば、ビジネスと旅行の概念を組み合わせて「Bluxury(ビジネスとラグジュアリー)」「Bleisure(ビジネスとレジャー)」「Blexperience(ビジネスと経験)」を融合させた事業を展開し、マレーシアにプロモートするというのもひとつの方法だ。これらはグローバルビジネスでは既に標準語になっているし、これらの概念は新たなビジネスチャンスとしても注目しておきたいところだ。
マレーシアに今も息づく「ルックイースト精神」
また、今回の調査で最も驚いたのは、「ルックイースト精神」がマレーシア人富裕層の間にもまだ息づいていることだ。ご存知の方も多いと思うが、ルックイーストとはマハティール元首相が提唱した政策で、端的に言えば「日本を見習おう」というものだ。
前述のようなニーズが多く出てくるのも、この理由からだと思われる。