アジアではまだまだ後進の日本のMICE HighNetWorth MICE Collection/HighNetWorth MICE of the yearで日本のMICE施設をグローバルに売り出す
ラグジュアリーMICEの誘致に力を入れ始めたシンガポール
「Japan MICE Year」と銘打って2010年からMICE戦略の推進を本格的にスタートさせた日本。
今年で早6年が経過したわけだが、日本のMICEはまだこれからという印象が強い。
今年の9月に東京ビッグサイトで開催された「Visit Japan Travel & MICE Mart」でもMICE関連の商談ブースはごく一部にとどまった。
Visit Japan Travel & MICE Mart 2016
当社は10月にシンガポールで開催されたITBアジアにも参加した。
アジア各国の様々なデスティネーションが出展しているのは例年のことだが、今年特に目立ったのはMICEへの力の入れようだ。
メディアパートナーにもMICE関連の雑誌がズラリと並ぶ。
ラグジュアリーMICEをこぞって狙っている姿勢が鮮明に見て取れた(下図参照)。
MICEの中でも、特に大きなビジネスになる可能性を秘めているのが、医師会の学会や大企業の大型研修などのLuxury MICEだ。
Luxury MICEのニーズは一定数存在するが、日本では実際に受け入れ可能な場所が少ないため、このニーズに対応できる体制が整っていることは大きなリソースアドバンテージになる。
先述のVisit Japanとは対照的だが、これは今後のラグジュアリートラベルの大きな流れのひとつとして注目したほうがいいだろう。
アジアでも遅れを取る日本のMICE戦略
MICEの中のひとつ、国際会議に限ってみてみても、日本のMICEはこれからというのが正直な実感だ。
国際会議の誘致はやはり欧米が強い。
ではアジアはどうか。国別の順位では、日本がアジアトップの7位だが、都市別では日本トップの東京でも22位(アジア・中東エリアで6位)とアジアをリードしているとは言い難いのが実情だ(データ1、データ2参照)。
【データ1 世界における国別の国際会議開催件数(2014)】
1 アメリカ 831件
2 ドイツ 659件
3 スペイン 578件
4 イギリス 543件
5 フランス 533件
6 イタリア 452件
7 日本 337件
8 中国 332件
9 オランダ 307件
10 ブラジル 291件
【データ2 アジア大洋州・中東地域の都市別国際会議開催件数ランキング(2014)】
1(7)シンガポール 142件
2(14)北京 104件
3(15)ソウル 99件
4(16)香港 98件
5(20)台北 92件
6(22)東京 90件
7(25)シドニー 82件
8(28)クアラルンプール 79件
9(29)バンコク 73件
9(29)上海 73件
※()内は世界順位
実際、1日最大15万人規模の来場者を誇る東京モーターショーの会場である、日本最大のMICE会場「東京ビッグサイト」でさえ、ここ数年は手狭だと言われている。
対照的にアジアをリードしているのはシンガポールだ。
過去にもHighNetWorth Magazineで取り上げたが、シンガポールには「マリーナ・ベイ・サンズ」や「リゾート・ワールド・セントーサ」などのいわゆるインテグレーテッドリゾートがあり、MICE誘致に大きく貢献している。
もちろん、日本でも同様のインテグレーテッドリゾートの開発構想がないわけではない。
たとえば沖縄県は、与那原町と西原町にまたがるマリンタウン東浜地区に大型MICE施設の建設を決めている。
沖縄県が想定している、コンベンションで最大1万人規模、インセンティブ・トラベルで最大4,000人規模、コンサートやスポーツ観戦で最大2万人規模というのは世界のMICE動向から考えると決して規模が大きいとは言えないものの、ここが完成すれば日本で国際会議などを実施したいという需要が増える可能性は十分にあるだろう。
日本のMICE施設を知ってもらうことがラグジュアリーMICEの第一歩
とはいえ、日本全国にこのようなインテグレーテッドリゾートを作るわけにもいかない。
現実的には今あるMICE関連施設を活かして、いかにMICE誘致を増やすかということになっていくだろう。
しかしそのためには、まず日本にどのようなMICE施設があるか知ってもらわなければならない。
そこで当社は、日本のMICE施設を海外にPRするためのパッケージ「HighNetWorth MICE Collection」と、年間で最も富裕層に評価MICE施設を選ぶ賞「HighNetWorth MICE of the year」をスタートした。
どちらもHighNetWorth Magazineや関連ウェブサイトを活用してダイレクトに富裕層にPRできるのが大きな特徴だ。
アジアのMICEをリードするシンガポールの動向からもわかるように、これからのインバウンド戦略においてもラグジュアリーMICEの誘致は重要なキーワードのひとつであることは間違いないだろう。
そのファーストステップとしてぜひこの2つを活用いただきたい。