日本の不動産投資の成功事例

日本で不動産投資(土地投資)に成功した例として思いつくのは、森トラスト、私鉄電鉄会社、東京ディズニーリゾートを浦安で展開しているオリエンタルランドなど、大手企業が事業として行ってきたものです。

 

私鉄電鉄会社

鉄道の場合のランドバンキングは、農家から土地を購入して、タイミングを見て電鉄会社に売却することですが、日本の場合は企業が土地買収から全てを行っていたので、個人投資家とは無縁の話でした。

 

森トラスト

吉郎氏によって創業された不動産デベロッパーです。泰吉郎六本木ヒルズや表参道ヒルズを開発した森トラストは、森泰氏は、1904年東京・港区に生まれ、現在の一橋大学(東京商科大学)を卒業後、大学講師を経て教授になり、現在の横浜市立大学では商学部長にまでなった経営史学者でもありました。

横浜市立大学在職中に生家のある新橋で貸しビル業を始め、不動産会社「森不動産」を設立し、1959年に大学を辞めて森ビル株式会社を設立した人物です。泰吉郎氏は経済学者らしく、不動産開発にも「オペレーション・リサーチ」の手法を早くから取り入れて科学的に事業を展開して行くなど合理的な経営を行い土地を買収してビルを建てて行きました。

森トラストは、港区を中心に土地を購入し、そこにオフィスビルを建設。ビジネス街として地域全体の価値を高めて活性化することに努めました。その最初の大規模地域開発が港区・六本木のアークヒルズでした。

その後、同じ六本木に六本木ヒルズ、表参道に表参道ヒルズを建設し街全体を変えてしまう土地開発を行っています。これは、安く買った土地に何らかの価値を付加して土地全体の価格を上げるランドバンキングと言えます。

 

オリエンタルランド

オリエンタルランドは、京成電鉄と三井不動産が二大株主となっている会社です。説明するまでもありませんが、東京ディズニーランドは、千葉県浦安市に建設されたアミューズメント施設です。

浦安といえば昔は漁村の街でしたが、東京ディズニーランドが出来てから周辺には高級ホテルや高層マンションが建ち、住宅街が作られ、そこに住むマダム達はマリナーゼと呼ばれるほどハイソサエティな街に変貌を遂げました。

当然、土地の価値も上がっています。

 

興行会社

東宝は映画製作会社でもありますが、興行会社に軸足を置いていました。戦後の復興期に全国の主要な駅前の一等地を安く買い上げて劇場を建てていきました。上映する映画は、東映、松竹、日活、大映などの映画製作会社に任せて、自分たちは土地を買い、劇場を建て、映画を上映して入場料商売に徹しました。

現在、映画産業はかつてのような状況とは異なり斜陽化、映画人口も1.6億人を超えるか超えないかというところです。

 

その中で、駅前の一等地に劇場を持っている東宝は、劇場を複合ビルに建て替えてテナント商売を行い成功しています。戦後の復興期という時期に土地を安く買ったランドバンキングの成果と言えるでしょう。

ここ20年間では、郊外型のシネマコンプレックスが多く造られており、都心型の映画館は減少しています。駅前の一等地に映画館を造るのはリスクが大きく、土地の安い郊外に複合施設として多スクリーンのシネマコンプレックスを造るというのもランドバンキングの一つと言えるかも知れません。

 

このように日本の場合は大手企業が参入したために個人投資家にはランドバンキングの情報は来ませんが、海外に目を向けると同じようなことが現在でも起きています。これからの時代、資産保全を考えるのであれば安定した利益が見込めるランドバンキングへの投資は、有力な選択肢の一つと言えます。