マレーシアの富裕層をマーケットする
GDPで言うとまだまだシンガポールの5分の1程度、イメージ的には中流国の印象が強いマレーシアだが、イギリスのナイトフランクのレポートによれば今後10年間で富裕層人口が40%以上増える見込み、タイやシンガポールほどではないだろうが、この予測は感覚的にはあたっていると感じることが多い。
本誌が注目しているのは次の点だ。
1:魅力的な生活コスト
首都クアラルンプールの中心地はショッピング客でいつもごった返している。
が、そこからクルマで20分もいけばいわゆる高級住宅街の登場だ。
高級と言っても日本人の感覚でいうところの高級であって、現地にはもっともっと高級な住宅街がたくさん存在する。
そしてなんといても生活コストが安い!
おおざっぱに言えばシンガポールの3分の1程度のイメージか。
普通の中流家庭でもメイドを雇用している、ということはメイド部屋のある家やコンドをもっている、ということになる。
これが地方にいけばさらにコスト安を痛感できる。
2:稼ぎ方
ご存じの通り、マレーシアはシンガポールが独立した国だ。
政治経済の結びつきがもっとも強いといっていいだろう。
シンガポールの金融マーケットを活用してマレーシアへ投資を行う。
販間費などが前述のように安くすむこともあり、これから2万ドルのGDPに向けた開発が進むマレーシアでは圧倒的に優位性のある投資になっていく。
キモは資金調達にある。
50年くらい前までは一緒の国だったこともあり、また、アレーシアのMaybankがシンガポールでそれなりの地保を築いていることもあり、シンガポールでの資金調達においてはマレーシア人はだいぶ有利だろう。
成長に鈍化のみられるシンガポールの次なる投資先としても目と鼻の先であるマレーシアはマネジメントしやすい、という思惑も蠢く。
3:ビジネス誘致
現政権は、ビジネス誘致、特にITビジネスの誘致に積極的で、かなりの税制対策を打ち出している。
この税制はIT事業者にとって魅力的だ。
私見ではあるが、開発型あるいはオウンドメディア型のITビジネスであれば日本でなくマレーシアで起業を考えた方がいいのではないかと思うことのある。
人材は日本から獲得すればよいし、アジアで働く経験をとる若者はきっと多いはずだ。
しかも日本より人件費コストは居住費を考慮しても安い。
天然ガスや不動産開発で名を成した富裕層が多いマレーシアだが、これからのマレーシア在住富裕層はIT軍団が多くなて行きそうだ。