Yahooの第一号出資者が雑誌記者出身であったという事実
セコイアキャピタルという泣く子も黙るベンチャーキャピタル(VC)の雄がいる。
VC業界に身を置く人たちならその名を知らぬものはいないだろう。
そのセコイアに伝説のベンチャーキャピタリストがいた。
その名はマイク・モリッツ、Yahooを発掘し第一号投資家となったことで有名な人物だ。
しかしマイクが実は直前まで雑誌タイムの記者であった事実はあまり知られていない。
筆者も某広告代理店で雑誌の広告営業からキャリアをスタートし、出版社の社長に転じた。
今は商業雑誌ではないが、マガジン発行を通じ定期的な情報発信をさせていただいているのはご存じの通りだ。
しかし筆者は雑誌の効用というのは情報発信ではなく情報収集の大きな武器になることにある、と考えている。
閑話休題、モサドというイスラエルの諜報機関がある。
モサドの初代長官イッサー・ハレルは
「世の中の情報の95%はすでにオープン情報だ。
誰も知らない5%の情報を追いかけるのみでなく、オープンとなった95%の情報をいかに分析するかが重要だ」
と説いている。
一方、時代は進み今やインターネット上の情報の95%は英語で書かれていると言われる。
つまり、現在のオープン情報の90%以上は「英語で書かれたオープン情報」なのだ。
この情報に接し、分析できる機会が増える、というだけで英語は学ぶに値するのだ。
雑誌というメディアの話に戻ろう。
世の中の90%以上の英語で書かれたオープン情報から、情報を選択して提供してくれる会社が世の中には無数にある。
しかし、メディアという立場にないとその情報はまず勝手にはやってこない。
実はメディアを保有するというのは情報収集の時間への投資だと置き換えることができるのだ。
そのような情報を参考にして記事がつくられていく、実はなかば独善的に。
なぜなら確かな情報に基づいた独善的な視点の方が読者が喜ぶからだ。
話を大元に戻そう。
タイムの記者だったマイクは、取材活動中にヘンなことをやっているスタンフォードの学生にたどりつく。
その彼こそジェリーヤンその人だったのだ。
マイクは「このネタなら読者が興味を持つ」と思ったようだ。
さらにこう考えた。
「ここにお金が入ればもっとすごいんだろうな」。
もうおわかりだろう。
記者目線で記事にするということと、ベンチャーキャピタリストが面白いと感じて投資を考えることは、実は同じよな目線にたっているのだ。
それゆえ著者は、スタートアップやベンチャーへの投資の際には雑誌記者に対して「この会社が記事になるかどうか」と聞くのがもっとも成功への近道なのではないかと考えている。
次の目玉業界は見えている。
人工知能と再生医療周辺とともに、規制を突破するビジネスということになるだろう。