相続税最高税率の引き上げ、出国税の導入、ほか強化される富裕層対象課税
2015年1月に相続税の最高税率の引き上げ、2015年7月に出国税が導入され、さらに国外財産調書制度や財産債務調書制度の導入など、富裕層を対象にした課税に国税庁も本気になっている様子がうかがえます。2015年9月某日の日本経済新聞に以下のような見出しの囲み記事が掲載されました。
「国税照準 富裕層2万人」
国税庁への情報公開請求や一部非開示だった部分を国税庁OBなどへ取材した結果、以下の10分野にわたる選定基準があることが判明しています。
1:有価証券の年間配当4,000万円以上
2:所有株式800万株(口)以上
3:貸金の貸付元本1億円以上
4:所得合計額が1億円以上
5:譲渡所得および山林所得の収入額10億円以上
6:取得資産4億円以上
7:貸家などの不動産所得1億円以上
8:相続などの取得財産5億円以上
9:非上場株式の譲渡収入10億円以上、または、上場株式の譲渡所得1億円以上かつ45歳以上のもの
10:継続的または大口の海外取引が有るもの、または、1-9の該当者で海外取引のあるもの
継続2管理事案(俗称「継2」:大口資産家対応案件)として明確に区分されている上記10項目該当者が少なくとも2万人はいるようだ。感覚的にはもっと多いだろう。いずれにせよ上記10項目はかなりアナの少ない選定基準であると思う。
課税強化は今にはじまったことでもないのでコメントは差し控えるが、「一定の富を持つものの資産は減りにくい」という実感知もあり、このような課税強化に私自身は懐疑的だ。この2万人が遍く自らの資産を寄付する(重要なのは日本に寄付しなくてもまったく構わないという事実)ことや、公益財団を自らつくり、確かに直接的には本人資産ではなくなるものの実行支配力がきいた上でとてつもなく非課税枠が増える、というようなことが起こると本末転倒なんじゃないかな、と。
私自身が最も効力があるんじゃないかなと思うのは、
1:上記10項目に現時点で該当している人に対するタックスアムネスティ
2:1年間数百万円程度以上の寄付の義務化
の両輪です。上記10項目に入っているが捕捉されていない人のあぶり出しもできるわけです。
「取られる」のが嫌だから節税するわけで、、、、「取ります」と言い続けるのであればどっかで「取る」ことにかける税金のほうが多くなって行ってしまうんじゃないの?
「これ以上はとりません」といってしまい、日本各地に眠っているだろう「バランスシートにのっていないお宝」も同時にあぶりだす、この方が税金を多く払わせるために多く税金を投入するよりもいいんじゃないかと。
財務省の英断を期待します。