International Luxury Travel Market(ILTM)という富裕層旅行商談会

ILTM(International Luxury Travel Market)という高額旅行の商談会があります。約10年前にカンヌで始まったのを皮切りに、上海、アフリカ、アメリカ、そして日本でも年に1回実施されています。約5年ほど前に当社もバイヤーとして本イベントに定期的に参加できるようになりました。

最近日本でもインバウンドという言葉がブームとなっています。訪日外国人旅行のビジネス全般を表現する言葉として定着してきました。考えてみればどの国もどの地方も、「オカネを落としていってくれる旅客」がほしい、のは当たり前。ひとつの国からみたインバウンド旅行は、その他のすべての国からみたアウトバウンド旅行となります。結局のところ訪日外国人が3000万人になっても(注:日本政府は2020年をメドに訪日外国人3000万人計画を発表しています)、あらゆる旅行の総数からみたらたいした量ではありません。

そこで今回はILTMに参加してみて感じているトレードショーの特徴と総括について以下にまとめてみました。

海外のトレードショーの特徴

1:インビテーションオンリー

まずなんといっても「インビテーションがないと入場を許可しません」というトレードショーが多いこと、これは大きな特徴です。時代が時代だからともいえますが、かなり厳格に入場制限されていますし、展示者(エギジビター)もバイヤーも国ごとに数がコントロールされていて、発想がそもそもの最初からグローバル設計に基づいています。

2:プレアポイントメント

トレードショーというのは、要するに出展する人(エギジビター)と出展されているものを買う人(バイヤー)のマッチング、お見合いイベントです。そのアポイントメントがイベント開始前に事前に指名、希望することによってマッチングされるというのも見逃せない特徴です。本当に「商談会」なんですね。それゆえ、サボりました、出席しませんでした、などの話にはペナルティが課せられます。

3:ネットワーキング

欧米的といえば欧米的ですが、トレードショー期間中のナイトタイムは、ほぼネットワーキングと称するパーティが開かれます。ILTMの場合、参加者は世界の富裕層旅行を動かしている人たち、ということになるので、やはりアクティブな参加者が多く朝までお付き合いすることもしばしばです。でもこの習慣は日本のトレードショーでも取り入れたらいいんじゃないかと思うこともあります。

総括

と、様々書いてきましたが、ここでは訪日外国人を継続的に増加させるための視点という意味合いでILTMを総括してみました。

1:ILTM Japanでなく日本版ILTMをグローバル設計で創設する

カンヌで毎年大々的に開かれるILTM本家本元の日本版を当初からグローバルに行うこと。高額旅行プロデュースのハブを日本が担うという意味合いです。訪日外国人を増加させるような設計でなく、力のある旅行関係者が毎年必ず日本に来る仕組みづくりのひとつ、といってもよいでしょう。要するに「部分的な利益=訪日外国人増加に直接ヒットしそうなイベント」を狙うのではなく、自ら「仕切り屋=高額旅行全体のプロデューサー」になる。マーケットなんて作っちゃえ!という発想が、結果訪日外国人を増加させることにつながると確信しています。情報発信者の一部でなく情報発信者そのものになること、ここがポイントかと。

2:記憶に残る、代えがたい経験を提供する

カンヌの海、街並みはさすがです。これは記憶に残ります。こういうのと勝負できるジャパンコンテンツは限られますが、IPS細胞でノーベル賞を受賞した山中先生のような余人をもって代えがたい人、ならぬコンテンツはなんでしょう。私は次の組み合わせだと思います。

和食+桜 =   Washoku + Cherry Blossom

この組み合わせに感動しない外国人はまずいません。ここに絞りきって、ビジネスの要人をこの時期に日本に招待しまくる、国家をあげての大接待でいいんじゃないかと思うんですね。その方々がジャパンコンテンツを広めてくれるアンバサダーの役割をはたしてくれるはずです。