「メジアンリスト」が示すシンガポール視点でのアプローチの重要性
シンガポールの当社顧客にいくつかヒアリング調査を実施した。
その中から「日本に期待すること」にフォーカスして紹介したい。
シンガポールでは一般的な「メジアンリスト」
下表1の結果からもわかるように、日本の不動産に対する関心が高い。特に、比較的価格の安い北海道の不動産が注目されているようだ。しかしながら、シンガポール人富裕層の要望にマッチした情報提供ができているかというとまだまだ不十分だと言わざるを得ない。
【表1】シンガポール人富裕層が日本に期待すること(一部抜粋/複数回答)
回答 | 人数 | 割合 |
グローバルな選択肢 | 6 | ・日本の不動産屋は、日本の不動産しか紹介しない。なぜ日本にしか選択肢がないのか。 |
アジアのリーダーカントリーとしての他国への設備投資増強 | 4 | ・公共設備(新幹線)。 ・旅館をアジアへ。 ・食品管理技術(肉、水など)。 |
素晴らしい日本文化をもっと丁寧に説明してほしい | 4 | ・着物ひとつとってもいろんな意味があるというじゃないか。 |
もっと本格的な和食をアジアで展開してほしい | 4 | ・寿司、てんぷら、焼き鳥、だけではないはずだ。 |
会社設立に対してビジネスフレンドリーな国になってほしい | 3 | ・ビザが出にくい。 ・マレーシアのようなユニバーサルな助成が見えない。 |
北海道の不動産はとても安くて魅力的だが、より比較できる情報が欲しい | 3 | ・シンガポールには北海道専門の旅行会社もある。 ・北海道に別荘を持ちたいが、情報に選択肢がない。 |
たとえば、シンガポールでは「メジアンリスト」という最高値の業者と最安値の業者の中間の値段を表記したリストが一般的な不動産情報のひとつとして用いられているが、日本の不動産業界にはそもそもこのような常識がない。しかし、これだけ高いニーズがあることを考えれば、シンガポール視点でこのような情報の提供をすることだけでも価値のあるビジネスになりうるだろう。
シンガポール視点で日本文化を考える
和食を中心に日本文化に対する関心も高いが、こちらもまだまだニーズに応えきれてはいないようだ。例えば、シンガポール視点で和食を考えると、海外でもポピュラーな寿司やてんぷらだけでなく、その地域でしか味わえない本物の郷土料理体験などが有望なインバウンドコンテンツのひとつになると考えられる。
このように「もっと日本文化について知りたい」「より満足度の高い日本文化に触れたい」というニーズに応えるには、ロータリークラブやタングリンクラブなどのプライベートクラブで、定期的に日本文化に関するイベントを実施するなどの方策が必要だろう。