世界の富裕層教育の視点。スイスのサマースクール

写真:©PAKUTASO
スキーヤーやスノーボーダーのメッカとして知られるスイス南東部のリゾート地、グラウビュンデン州ラークス。

夏には世界中の富裕層がこぞって子供を送り込むサマースクールが開催されている。費用は、3週間で総額8,000フラン(約90万円)だという。
JTキャンプはスイスに数多あるサマースクール開催者の一つで、家族経営のキャンプにはすでに祖父母の代から参加する中東の子供たちもいる。参加者の3分の2はリピーターになるという。

サマースクールでは、午後のスポーツ活動や遠足などのアクティビティが充実している。スイスを象徴するショコラティエや氷河を訪れたり動物と戯れたりと普段できない経験ができるのが魅力だ。ゴルフやテニスといった伝統的なスポーツからカポエイラ、フラメンコまで、さまざまなアクティビティが用意されている。子供たちは気分によって、週ごとに自分の参加するプログラムを切り替えられるのも魅力だ。サマースクールは、一人一人で細かくカスタマイズできるブティックスタイルになっていて、毎年、参加者のうち数人はプライベートジェットやヘリコプターでスイスにやってくる。

サマーキャンプは各国で開催され散るが、なぜ富裕層はスイスを選択するのだろうか?
スイスは、ヨーロッパの近隣諸国と異なり、近年のイスラム国家(IS)によるテロ攻撃を免れ、紛争から距離を置いている。米国で頻発している銃の乱射事件もスイスにはない。永世中立国家であることは、特にアラブ諸国の親にとっての安心材料となっている。モスクワやワシントン、ロンドンに暮らすロシア人外交官にとっても、子供たちに穏やかな夏を過ごさせたいと願う親には大きな魅力だ。親の職業は、主に医師や弁護士、中~上部経営層など職位が高い。中国人であれロシア人であれカタール人であれ、稼ぎの良い両親たちは子供を風光明媚なスイスに送り出すことにとても満足している。子供たちをサマースクール運営者に預けた後、自らもスイスに飛び込みアルプスを楽しむ親たちもいる。

子供たちを楽しませるだけではなく、リーダーシップや科学体験、スポーツなど成果志向のスクールが好まれている。国家として中立であるということが、世界情勢が緊迫すればするほど安心安全を求めたスイスの学校への富裕層の子供たちは集まるのだ。

参照:SWI

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